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感想「ウルフヘッド」

「ウルフヘッド」 チャールズ・L・ハーネス サンリオSF文庫
大昔に古書で入手して、そのまま放置してあった。同じ著者の「パラドックス・メン」が、昨年、竹書房文庫から出て、入手したので、ようやく読む気になった。原著は1978年刊行で、本書は1979年刊行だから、原著が出て、すぐに邦訳されたことになる。

核戦争での荒廃から3000年経って、再興した世界が舞台。そこに生きる主人公が、荒廃の時に地下に逃れて適応した地底人に奪われた妻を取り戻すため、意志疎通出来る獰猛な狼を仲間に、地下の世界に潜入する話。ファンタジー的な要素のある冒険小説。
多分、今の目で見ると、ということなんだろうと思うが、ストーリーの構造は割とありがちに思える。もっとも、ダンテの「神曲」が下敷きになっている時点で、著者はその辺のオリジナリティは最初から意識していないかもしれない。
なので、読みどころとしては、基本構造をどう修飾しているかというあたりかなと思うが、そこもやはりそれほど独自性は感じられない。秘境もの風な舞台装置と、地底人が持つ高度な文明の混合が、独特な雰囲気を作ってはいる。ただ、70年代末であれば、それもそう目新しい趣向ではなかったのではないかなあ。
それでも、冒頭と結末に漂う詩的な雰囲気は、オリジナルなものかなと思った。全篇にそういう、英雄譚ぽい雰囲気が立ち込めていれば、もう少し印象が違った気がする。もしかして原著にはあるけれど、翻訳ではそういう味を出しきれていないのかな。
ただ、結末がかなり強引な終わらせ方になっているあたりから邪推すると、著者はもっと早い時期に書き始めたが未完のままになっていて、改めてそれを何とかまとめあげたもの?、という気もしないでもない。だとすれば、出版された時期の割に、やや古めかしく感じる所も、説明がつくように思える。
主人公の超能力や、アメリカの権力構造への皮肉っぽく取れる描写など、興味深い部分もあったし、面白くは読めたけれど、すごくたのしめたというほどではなかった。

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