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感想「エラリー・クイーン完全ガイド」

「エラリー・クイーン完全ガイド」 飯城勇三 星海社新書
おそらく日本で一番エラリー・クイーンに詳しい著者による、3度目の「エラリー・クイーン」の「完全ガイド」。ただし、ぶんか社から出ていた前2冊からは大幅に改訂していて、完全に別の本になっている。
ガイドの体裁を取りながらも、前2冊とは異なり、振り切って、書きたいことを書いているという感じがする。全篇に渡って、エラリー・クイーンの作品に対する愛情を、ストレートに表明していて、ガイドというよりは、この著者らしいエラリー・クイーン研究本だと思う。
たとえば、数多くの作品の中には、当然、あまりぱっとしないものもあるのだけれど、そういう作品についても、こういうふうに読めば優れた作品として読めるのだという、かなり強引とも思える理屈付けで賞賛していたりする。この著者らしい紹介の仕方ではあるけれど、「ガイド」としてはどうなのかなと感じる。こういう書き方は、全く読んだ経験のない読者には、特定の角度からの読み方を押し付けることになりかねないし、これが通じるのは、むしろ既にある程度読み込んだ読者に限定されるように思える。
他にもいくつか気になる点がある。ただ、
それらも本書を著者の作家論・作品論と考えれば、あくまでも著者の裁量の範囲内と思うし、むしろ、著者の方向性や好みが明確になっていると言える気がする。本書のタイトルが「ガイド」になっていることには違和感があるし、自分がエラリー・クイーンに対して感じている面白さとは、だいぶ視点が違うとも感じるけれど、主張していることは理解できると思った。
本書内にもそれらしい記述があるが、おそらく、もっとニュートラルなガイドを求めるのであれば、(今は品切れのようだけれど)過去2冊のガイドを読んで欲しい、ということなのだろうな、と思った。


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