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「フレンチ・ディスパッチ」

2/12に観に行った映画。映画館の前を通りかかった時にポスターに目が留まって、全然知らないけど、観てもいい気がすると思ったのと、その後、監督(ウェス・アンダーソン)は割と面白い映画を撮る人ということを聞いて、内容をほとんど知らないまま観に行ってみることにした。けっこうギャンブルだったと思うけど、かなり好きなタイプの映画だったから、大当りを引いた気分。

完全な邦題は「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」。これが示すように、「フレンチ・ディスパッチ」というのは、アメリカのカンザスで発行されている新聞の日曜版として、フランスで編集されている雑誌という、かなりわけがわからない設定。映画は、その最終号に載った記事が映像化された体裁の4本の短篇と、全体をまとめる枠組みとしての最終号の編集風景から成っている。
基本的にはコメディ映画。ただ、ドタバタしたものではなく、アメリカ人が持っているフランスの素敵なイメージと思われるものが全篇を覆っている、洒落ていて洗練されたコメディ。というよりは、ここは、「フランス映画を愛好する」アメリカ人が持っているフランス「映画」の素敵なイメージ、と言った方がいいのかもしれない。
それと、ここは「アメリカ人」を「日本人」に入れ替えても、そんなに変わらないんじゃないかとも思うんだけど、どうかな。
映像はやたらとディテールに凝っているし、筋立ては理屈っぽくて、バカバカしくて、というあたりも、実に好みで、いいなあと思った。
映画好きな人は、過去のフランス映画からの引用などで、いろいろ楽しめたりもするらしいのだけど、そういう方面の教養はあんまりないので、そこは個人的には残念でしたな感じ。
それから、その辺のことも含めてということになるけれど、画面作りもストーリーも、やたらと情報量が多いので、付いていくのが精一杯だった。内容をきっちり理解するには、もう2-3回、繰り返して観ないとだめかな、という気がするのだけど、そこまでするほどの映画愛好家でもないので…。でも、いつかビデオを手に入れて、観直してみたいかもしれない。
また、こういう趣向の映画を作った背景とか、「The New Yorker」の昔のスタッフやライターに、この映画は捧げられているらしいのだけど、その辺の理由とか、興味を覚えたことがいろいろあって、この辺は映画を見ただけでは分からないから、いろいろ解説を読んでみたりしないと分からないだろうと思う。そういう意味でも、じっくり付き合ってみたい気がした映画だった。 

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