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感想「世界推理短編傑作集6」

「世界推理短編傑作集6」 戸川安宣・編 創元推理文庫
創元推理文庫から出ている「世界推理短編傑作集」の第6巻。1950年代までの外国の短篇ミステリの傑作集。
本書のタイトルには、少しややこしい経緯があって、元々全5巻の「傑作集」が江戸川乱歩編で1960年から刊行されていて、自分が持っている(読んでいる)のはそれ(もうひとつ前史があるのだけど、とりあえずそれは置いておく)。それが2018年に戸川安宣の編集で改訂され、新版になった。これは旧版に対して、多少の収録作品の異動があるが、基本的に旧版に沿って編集されている。そして本書は、5巻までには入っていない、旧版で漏れていた作品を集めた巻ということになる。自分は新版は読んでいないのだけど、こういう経緯なので、本書は旧版の補遺と考えることも出来る構成になっており、そういう意味合いで読んでみた。

傑作短篇の集成だから、当然、別の場所で今までに読んだことのある作品も多く収録されていて、全13編のうち、確実に既読なのが5編。他にも読んだことがある気がするものや、読んでいないとおかしいように思えるものも含まれている。一方で、あくまでも1950年代までの傑作選なので、収録作品は読んでいなくても、その作家の他の作品は読んでいたりするから、目新しさみたいなものはほぼなくて、基本的には安定感を楽しむ作品群という感じだった。

そういう中で(多分)初読で、思っていたよりも面白かったのが、ガボリオの「バティニョールの老人」、ニコラス・カーター「ディキンスン夫人の謎」。19世紀末の小説なのに、構成的にそれほど古びて見えなくて、よく出来ていると思えた。イーヴリン・ウォー「戦術の演習」も複雑な心理の動きが描かれていて、良かったと思うのだけれど、これはどうも、過去に読んだことがある気がする。
明らかに読んだことがあって、やっぱり好きだなと思ったのは、シムノンの「メグレのパイプ」。これはメグレものらしい楽しい作品。
逆に、読んだことがあって、やはりいまいちと思ったのが、チャンドラーの「雨の殺人者」。読んだ可能性はあるけれど、覚えていなくて、それほど感心しなかったのはシール「エドマンズベリー僧院の宝石」。この辺は好みの問題。
ロバート・アーサー「五十一番目の密室 またはMWAの殺人」は、未読だったと思うが、こうした短篇集に、こういう楽屋落ち要素の強い作品を入れるのが妥当なのかな、と思った。作品そのものの出来は、決して悪くはないのだけど。

とはいえ、総じて楽しんで読めた。海外ミステリをあれこれ読み漁り始めた頃を思い出した。
(2022.4.5)

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