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「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

手っ取り早くいうと、コインランドリーを経営する熟年女性が、宇宙の危機を救うヒーローになる話で、多元宇宙(マルチバース)をネタにした、SFアクションコメディというところ。あまり知らないけれど、こういうジャンル映画がアカデミー賞作品賞を取ったというので、いろいろな反響があったらしい。
なんとなく映画紹介を聞いていた時点では、多少興味を感じた程度で、そこまで積極的に観に行く気はなかったのだけど、「インディジョーンズ 魔宮の伝説」に出演した、少年だったキー・ホイ・クァンが、すっかりおっさんになって、この映画に出てるとか、ジェイミー・リー・カーティスが出演してるとか、その辺のエピソードが聞こえてくると、だいぶ関心が増してきた。とどめになったのは、監督が「スイス・アーミー・マン」を撮った人たちだ、というのを知ったこと。これはテレビで見たが、変な映画で、かなり強烈に印象に残っている。そういうわけで、結局見に行った。

3部構成になっていて、大雑把な記憶では(だから、間違っている所はあるかもしれない)、第1部の「everything」は、まさにジャンル映画そのものの、SFアクションコメディという感じ。宇宙の危機に巻き込まれた主人公の女性と、彼女を巻き込みに来た異世界の、彼女の夫に相当する人物が、カンフーアクションで敵と戦い続ける。アクションは華々しいし、SF的なギミックのアイディアは面白いし、笑えるし、まさにジャンル映画という感じ。
それが一段落した所で、第2部「everywhere」に進む。第1部をベースにしつつ、主人公が送ってきた辛い人生、選択次第であり得たはずの彼女の別の人生、今の人生での家族との断絶、苦悩などが語られて、一転して暗いトーンになる。そういう中で主人公が、夫の心情に触れたことや娘への愛情から、よりよい結末へ前向きに進んでいこうとする話になっていく。
そして第3部の「all at once」は短い締めくくり。

第2部のある種のシリアスさが、この映画を特別なものにしていると思うけれど、だからいいとか、そういうことはあまり言いたくない。むしろ、ジャンル映画でもこれくらいのことは描くんだよ、と思うので。
ストーリーにはいろいろな要素があると思うのだけど、一番大きいのは人と人のつながりという部分なのかな。あまりにも慌ただしい日常の中で殺気立って、いろんなもの、とりわけ夫や娘との関係が壊れ始めている主人公が、事件をきっかけに家族や周囲の人々との人間関係を回復していくというのが、ストーリーの中心になっていると感じた。
主人公は、救世主として選ばれた自分を倒しに来た敵を、最初は戦って倒していくのだけど、ある時点から「倒す」のではなく、「癒す」ことによって、「敵」という存在でなくして、救っていく。それによって自身の人間性も回復していく。そういう話でもあると思う。
ただ、それだけだったら、多分、そこまで面白いとは感じなかった。バカなアイディアの数々が、シリアスな要素と拮抗してあちこちに登場することで、いいバランスになっていたと思う。この辺が、いかにも「スイス・アーミー・マン」の監督らしい感じ。

多元宇宙を駆け巡る展開なので、場面転換がめまぐるしいし、速いスピードで話が進んでいくから、なかなか追い切れなかったりもする。字幕で訳しきれていないのか、説明不足と感じる部分もいろいろある。
コミカルな要素とシリアスな要素が境目なしに混ざり合っているというのも、そこが面白さである一方、話の振れ方にやや戸惑う部分もあった。
だから、正直、一度見ただけでは消化しきれてない感じはするのだけど(だからといって、もう一度見るというわけでもないが)、興味深い映画だったことは間違いないし、感銘も受けた。見に行ってよかったと思う。
(2023.3.21)

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