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感想「テキサスのふたり」

「テキサスのふたり」 ジム・トンプスン 文遊社
1965年の作品。この著者の長篇の中では、最後期に近い時期になる。
テキサスを舞台にした小説で、プロのギャンブラーの男が主人公。彼には行動を共にしている妻同様のパートナーの女性がいて、この二人がテキサスの各地で遭遇する出来事を描いている。邦題の「ふたり」は、この二人を指しているのだろうが、原題は邦題とは少し違っている。あとがきによると、原題は意味が取りにくい言葉なのだそう。

主人公は財政上の問題を抱えていて、事情があって、そのことをパートナーにも話せない。自力で解決しようとするが、努力はすべて空回りして、事態はどんどん悪い方向へ向かい、破局の気配を濃厚に感じさせながら話が進んでいく。

トンプスンらしい展開ではあり、読んでいると結構しんどい。主人公は自伝的な要素がかなり取り込まれているキャラクターで、他にもある、そういう方向性の作品同様、アウトサイダーではあるけれど、本質的はいいやつなので、なおさらつらくなる。
ただ、トンプスンのノワールな一連の犯罪小説とは違い、ひたすら主人公を追い詰めていくだけではなく、彼の周囲にいるテキサスの個性の強い人間たち(敵も味方もいる)の列伝のような要素も、しばしば組み込まれているので、その部分が息抜きにはなる。

というか、この小説の読みどころは、主人公を巡る物語(波乱に富んだこれまでの人生の物語と、現在進行形のサスペンス色の強い物語が絡み合う)とともに、そうしたテキサスの人物や風土が描かれている所にあると思う。ヒューストン、フォートワース、ダラス、ビッグ・スプリングと舞台は移動していき、それぞれの都市の特徴が丁寧に描かれていく。どこまでが現実に見合った描写なのか、現代にも通じることなのかは分からないけれど、アメリカの小説や映画などでしばしば見掛ける、テキサスの独特な雰囲気を強く感じさせてくれる。

読んでいるとつらくなってくるので、なかなか読み進められなかったのだけど、読み終わってみれば、最後期らしい口当たりの良さもある作品だったかな、という気もする。再読すると、だいぶ印象は違ってくるかもしれない。

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