« セリーグ ヤクルト対中日(5/12) | トップページ | J1リーグ第13節 鹿島対名古屋 »

感想「乙女島のおとめ」

「乙女島のおとめ 」 田中小実昌 集英社文庫
短篇集。1979年の刊行で、番町書房から出ていたものの文庫化らしい。収録されている作品は、巻末の書誌によると、1970年から75年にかけて「小説現代」などに発表されたもの。先日、古書店で買ったが、今は絶版だろうな。

内容はどれも、赤線地帯の余韻が残る日本の各地で、 主人公が女性と関わる話。各作品の主人公は同一人物ではないと思われるが、ミステリの翻訳をやっていたり、放浪癖があったり、いずれも明らかに著者が投影されている似たような人物像。ちなみに赤線廃止は1958年。
当然?、そういう方面の話にはなるけれど、エロ小説というわけではなく、あくまでも人間模様を描く小説。各篇に登場する、浮世離れした雰囲気で描かれる、どこか不思議な女性たちが印象に残る。よくわからない存在として、女性を描いた小説、と言えるのかもしれない。
そんなに読んでいるわけではないけれど、昔の「中間小説」って、こういうのが多かった気がすると思った。全体に漂っている、1960年代の雰囲気も、そう感じる理由の一部じゃないかと思う。
ただ、まったりとした筆致は、この人独特のものだったはず。テンションが高くなくて、読みやすかった。また、著者の翻訳観が披歴されるくだりがあり、興味深かった。

それにしても、1970-80年代あたり、山のように書かれていた「中間小説」って、今は本当に消えてしまった感じがする。今は何に置き換わっているんだろう。
もっとも、簡単に「中間小説」と書いたけれど、「中間小説」と「大衆小説」の違いが、よく分かっていないな。それを言えば、「純文学」と「中間小説」の区別も。なんとなく、今はそういう区分自体が薄れているのかな、という気はするけれど、本当の所は分からない。
(2023.4.29)

|

« セリーグ ヤクルト対中日(5/12) | トップページ | J1リーグ第13節 鹿島対名古屋 »

小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« セリーグ ヤクルト対中日(5/12) | トップページ | J1リーグ第13節 鹿島対名古屋 »