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感想「バッタを倒しにアフリカへ」

「バッタを倒しにアフリカへ」 前野ウルド浩太郎 光文社新書
2017年に出版された本で、2018年の新書大賞を取ったとか。本屋でもかなり目立つ表紙で、刊行当初からなんとなく気にはなっていた。今年の初めにたまたま手に入れて、しばらく寝かせてたが、ようやく読んでみた。

子供の頃に「ファーブル昆虫記」を読んだことなどをきっかけに、バッタを研究する昆虫学者を志した著者が、バッタの大量発生に悩まされているモーリタニアに渡って、バッタ研究で悪戦苦闘するいきさつを語るノンフィクション。
また、バッタ研究、舞台はモーリタニアというだけでなく、著者がポスドクで、研究者としての仕事の場を得るために苦闘する姿も描かれている。その三つの要素が絶妙に絡まり合っているし、著者の語り口の楽しさもあって、読みやすいし、引き込まれる内容だった。相当しんどい思いもしていることは、読んでいれば分かるけれど、語りのうまさで、辛い話にはなっていない。それだけでいいのか?という気もしないではないが、読み物としては正解だと思う。

バッタの生態は、それなりに興味深いし、モーリタニアという国は、名前も場所も昔から知っているけれど、それ以上のことはほぼ知らなかったから、そういう地域・土地柄なんだなあという知識が得られて良かった。
大学院を出て博士号を貰ったが、就職先がなくて、生活苦に陥っている人が多いという話は、近年、よく聞くようになっているけれど、具体的な実例を見せてもらった感じ。この著者は、最終的にはうまく立ち回れたわけだけれど、背後には、うまく行かなかった人たちが、たくさんいるんだろうなと思う。まあ、分野にもよるんだろうけど。
技術系の就職で、大卒なんか当り前で、これからは大学院を出て修士以上でないとダメ、みたいなことが言われ始めてた時期ががあったことを覚えてるけど、今はどうなんだろうな。

それにしても、モーリタニアに対する日本の援助が現地の役に立っていることが描かれている部分とか、著者の助けになる基礎研究者のための国内のいろいろな制度が書かれている部分とかを読んでいると、目先の損得勘定だけでは測れないものを、次々切り捨てていこうとしてる今のこの国のやり方の中で、こうしたことが、この先、継続していくんだろうかというのが不安になる。
(2023.10.3)

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