J1リーグ第37節 名古屋対鳥栖
2024.11.30(土) 14時 岐阜メモリアルセンター長良川競技場
観客 14734人 主審 高崎航地 副審 梅田 智起、岩田浩義
名古屋グランパス 0(0−2)3 サガン鳥栖
(0−1)
得点 8分 鳥栖・ヴィキンタス スリヴカ
10分 鳥栖・中原
67分 鳥栖・中原
名古屋の今季ホーム最終戦。現地観戦。
去年2試合あった長良川開催の主催試合は、どちらも悪天候に見舞われたけれど、この日も試合の少し前まで雨。試合途中も少しぱらついた。よくよく巡り合わせが悪いとみえる。
名古屋の先発は、GKランゲラック、3バックが左から河面、三國、内田。2ボランチ椎橋と稲垣。右サイド和泉、左サイド徳元、前3人が森島、永井、山岸。
鹿島戦に比べると、野上が外れて、ベンチにも居ないのが違うだけで、特に意外性はない。野上の不在は気になったが、故障?
序盤、名古屋はロングボールやセットプレーでチャンスを作り、惜しい場面も2-3回あったが、鳥栖の、毎度のことながらの、GK朴一圭のファインセーブを中心とした、手堅い守りに阻まれて、得点出来なかった。
そうなると、勢いがどんどん鈍るのが今年の名古屋。選手の連動性が高い鳥栖のビルドアップに押し込まれ始めた。
7分頃、最終ラインで三國が河面へパスを出したが、方向が少しずれ、河面が抑えきれなかった。こぼれたボールを鳥栖が奪い、そこからパスを繋いで、最終的にヴィキンタス スリヴカのシュートで先制ゴール。見事な攻撃だったが、ボールを奪われた後の名古屋の選手の対応も鈍かったと思う。
さらに10分、自ゴール近くで稲垣から内田へのパスが少しずれ、詰めて来た鳥栖の選手にボールを奪われると、速攻で繋がれて中原に追加点を決められる。名古屋のディフェンスが、落ち着きを取り戻す間もなく0-2。
14分には、山岸が抜け出して決定的なシュートを打ったが、朴一圭のファインセーブに阻まれたし、そもそもオフサイドだった。
以降も鳥栖ペースで試合が進んで行った。鳥栖が、居るべきところに選手が居て、ビルドアップしていくのに比べて、名古屋は出す先が見つからずに、ただボールを回していたり、漠然とした放り込みでボールを相手に渡すだけだったり、攻撃の形がまるで作れなかった。
それでも前半の終盤になってくると、ようやく名古屋の攻撃が噛み合い始めた。そしてロスタイムに、森島の右からのクロスを起点に、ゴール前でボールが繋がり、最後は永井が決めた。さすがは永井のゴール感覚、と思ったが、長いVARの末、オフサイドでノーゴール。0-2で折返し。
後半は山岸がパトリックに交代し(脳震盪による交代とアナウンスされた)、内田が菊地に代わった。内田の位置に稲垣が下がり、森島がボランチに降りて、和泉が前で出て、その後に菊地が入った感じ。
和泉と菊地はいい働きを見せて、名古屋に勢いを付けたと思う。特に菊地は、積極的にゴールに向かっていたと思うけれど、得点には至らない。
17分に徳元に代えて山中と投入。いよいよ点を取りに行く態勢と思えたが、山中にいまひとつ切れがなかった。
そして22分に、鳥栖の分厚い攻撃に屈して、3点目を失う。一度はポストに当たって跳ね返ったシュートを、拾われて押し込まれた。
直後に永井をユンカーに交代。
しかし、この辺の時間帯になってくると、名古屋はそれなりにボールは保持するものの、選手たちが何をしていいのか、よくわからなくなってるようにも見え始めていて、期待できそうもない感じだった。
39分に和泉と椎橋を中山と吉田に交代。それでも状況は変わらない。
ロスタイム、CKから河面がシュートを打ったが、クロスバーに当たって跳ね返り、こぼれ球を稲垣がシュートしたが、枠を外れて得点にならない。
そのまま試合終了。名古屋は0-3の完敗。
鳥栖は降格が決まった後、調子を上げていたし、元々、苦手の対戦相手でもあるから、勝敗に関しては、ありえる結果だったと思うけれど、このスコアはさすがにね。しかもスコア通りの内容だったし。
名古屋の選手の動きが総じて悪かったのは確かで、特にバックスの出来の悪さが目立ったように思う。日程的な厳しさとか、そういう問題は特になかったはずだから、単純に調整に失敗したのか。それとも、ランゲラックのホームでのラストゲームということで、絶対に勝たないと、というような意識が働いて、かえって動きが悪くなってしまったか。元々、ホーム最終戦では、毎度、あまりいい試合を出来ないチームだし、それに輪を掛けてしまった感じ。
個人的には、どうせ消化試合なんだから、こんな試合は若手でもどんどん起用すればいのに、と思っていたけれど、ホーム最終戦とか、ランゲラックのホームラストゲームとかいうことになると、なかなかそういうわけにもいかないのかも、とは思う。そこで割り切れないのが長谷川だな、とも思うけれど。
鳥栖は、名古屋の出来の悪さもあったにせよ、素晴らしい試合をしたと思う。早々と降格決定してしまったのが、不思議に思えるくらいの内容だった。試合後、引き上げていく鳥栖の選手たちに、メインスタンドのホームの観客から、盛大に拍手が送られた。降格するチームへの惜別・激励だったんだろうとは思うけれど、この日の鳥栖の試合ぶりへの賞賛の意味合いもあっただろうな。この日の試合を見ていると、鳥栖の降格は本当に残念に思えた。すぐに戻って来れればいいんだけど。
この日、鳥栖の試合ぶりを見ていると、選手一人一人が、パスを受けるためのポジション取りを考えて自主的に動いていたり、パスを出す側も、相手チームの動きを見た上で、どう出せばボールが通るかを判断しているのが感じられた。当り前のようには思えるけれど、この試合で比較して見ていると、名古屋の選手の場合は、自分がパスを出したい所へ出して、自分がパスを受けたい所に動いている度合いが高いように思えた。自分の意思だけでプレーしていて、パスの受け手や、対戦相手のことはあまり考慮に入っていないのではと。そして、選手の連動性の有無というのは、そういうことじゃないのかな、と思った。それでも選手に圧倒的に力があれば、自分のやりたいようにやるだけでも何とかなるのだろうけれど。今年の名古屋は連動性よりも、そういう個々の選手の能力で、力づくで(永井の足の速さとか)なんとかしようとしているチームだと思うし、歴史的にもそういう時期の方が長いチームだと思う。鳥栖のようなチームを苦手にしてる理由も、その辺にあるんじゃないかな。
今までも漠然と考えていたことだけれど、少しはっきり認識出来た気がした試合だった。
試合中に現れた虹。
鳥栖のゴール裏のみなさん。
名古屋のホームゲーム観客数が過去最多だったそうだけれど、ほぼ全試合をキャパの大きい豊田スタジアムで開催していたんだから、そんなに不思議はない、とは思う。
試合後の最終戦セレモニー。スタンドのリアクションに、惨敗の試合の後だけに、ブーイングを盛大にかましたいとこけど、ランゲラックのホームでの最後の顔見せだし、ルヴァン杯を獲得したシーズンでもあるので、そうもいかないなあ、という微妙さを感じた。
最後は恒例の愛知トヨタの表彰式。最優秀選手は永井で、まあ、他にいないだろうな、という感じ。優秀選手に森島が入っているのが、いまひとつ納得がいかなかったけれど、フルシーズン出場していて、そこそこ活躍した選手となると、選ばれていないのは他に稲垣くらいしかいないことに気が付いた。数合わせ的な選出と考えればやむを得ないか、と思った。
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