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感想「美しき血」

「美しき血」 ルーシャス・シェパード 竹書房文庫
「竜のグリオールに絵を描いた男」「タポリンの鱗」と続いたグリオール物の最終作とのこと(著者が2014年に亡くなっているので)。解説によると、原著の出版には少し複雑な経緯があるようで、先にフランス語の訳書が出て、その後、英語版が出版されたらしい。本書のcopyright表記は、英語版が出た2014年になっている。邦訳は昨年の11月刊行。だいぶ前に入手はしていたが、なかなか手が付かずにいた。

過去の2冊は中短篇集だったけれど、これは長篇。ストーリーは、過去の中短篇の内容を踏まえて進んで行く。竜のグリオールに絵を描くプロジェクトが始まった所から、グリオールの絶命後までを、グリオールに併走させられるように生きて来た主人公を軸に描いていく。過去の作品を読んで(覚えて)いれば、そちらで起きた出来事を、別の角度から見られるという面白さもある。
自分はそこまではちゃんと覚えていないので、たどりきれてない部分が、だいぶあったはずだけれど、気持ちは伝わった、という感じ(^^;。
かなり特異な設定の作品ではあるけれど、馴染みがあるので、すんなり入って楽しめるというのは、シリーズものの良さだな。
中短篇が、作品ごとにテーマを掘り下げていた印象があるのに対して、本書は大河小説的な物語性の方に力点があるように思えた。そういう面白さだったと思う。また、著者が過去の作品で見せたいろいろな側面を、次々に繰り出して見せているようにも感じた。そういう意味でも、シリーズの総集編的な作品と言えるのだろうな。

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