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感想「エイレングラフ弁護士の事件簿」

「エイレングラフ弁護士の事件簿」 ローレンス・ブロック 文春文庫
弁護士エイレングラフを主人公にした、全12篇の作品が収録された短篇集。
このシリーズは、昔、「EQ」に時々訳載されていたのを読んでいた。多分、大半は既読だと思う。読んだ覚えのある作品が多かった。
エイレングラフは、明らかに殺人を犯している(しかも、情状酌量の余地はほぼない)依頼人を無罪にしてしまう弁護士で、いわゆる悪徳弁護士ものということになるのだろうけど、その悪徳ぶりが強烈な所がポイント。あとは詩を愛好する伊達男という、主人公のキャラクターの造形も成功している。
ただ、なにせ、自分が海外ミステリを読み始めたごく初期に出会ったシリーズだったので、そんなことは、最初に読み始めた時には、全然分かっていなかった。一般的には、普通の弁護士ものや、それをひとひねりした悪徳弁護士ものを読んだ上で、出会うべきシリーズだったのではと思う。そこをすっ飛ばして、いきなり読んでしまった結果、自分の弁護士物のミステリに対するイメージは、だいぶゆがんでしまったかもしれない。でも、それはそれで良かったと思う。小説の読み方に、こうでなくてはいけない、なんてものはない。とはいえ、ペリイ・メイスンとか、当り前な弁護士小説をその後に読んで、あまり面白く思えなかったのは、そのせいかもしれない。
とても不可能と思える状況で、依頼人を救うやり方の強烈さが衝撃的で、面白く読んでいた。ただ、その救い方が、プロット的には最大の読みどころなのだけど、どうしてもパターンが限られるので、「EQ」で読んでいた時は、何度か読んでいるうちに、だんだん飽きてきた覚えがある。今回は久々に読んだので、面白く読めたけれど、何篇も続けて読んでいると、やはり飽きてきた気がした。作者が、いろいろ目先を変えているのは分かるし、その工夫のされ方にも面白さは感じるのだけど。
雑誌で時々読むくらいが、ちょうどいいような気はする。まあ、昔はそういう読み方でも飽きていたわけだが。
(2024.12.13)

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