J1リーグ第38節 横浜対名古屋
2024.12.8(日) 14時 日産スタジアム
観客 42866人 主審 谷本涼 副審 渡辺康太、坊薗真琴
横浜F・マリノス 0(0−1)2 名古屋グランパス
(0−1)
得点 24分 名古屋・和泉
71分 名古屋・山岸
J1の今季最終戦。現地観戦。
ランゲラックのグランパスでのラストゲームになるはずだったが、急な腰痛とのことで欠場。GKは武田が起用されるという、思いがけない事態。そういうことって、起きるものなんだな、と思う。
他の先発メンバーはいつも通り。鳥栖戦で欠場した野上が戻って右サイドで、和泉が前に上がり、山岸は外れて控えになったが、むしろこっちの方が「いつも」ではある。
立ち上がりは名古屋が攻勢で押し込んだ。セットプレーなどから、惜しい場面を何度か作った。でも、こういうところで決めきれないと、流れが変わって守勢になって、やられちゃうのがパターンなんだよな、と思っていたが、マリノスはいっこうにペースが上がらない。マイボールにしても、そこから名古屋ゴールまで迫るような形が、ほとんど作れていなかった。名古屋が優勢のまま時間が進み、24分に、人数を掛けた厚みのある攻撃から、和泉のシュートが決まって先制。
流れは後半も変わらなかった。マリノスの攻撃は、連動性が欠けていて、迫力がなく、いつもの(特に前節の)名古屋みたいに見えた。
70分に永井に変わって山岸が入ると、直後にマリノスDFがGKへパスミス。こぼれたボールに、入ったばかりの山岸が詰めて2点目。こういう相手のミスを突くうまさというか、得点感覚というのは、山岸の独特なものだな。永井もうまいけれど、どちらかというと、自分でプレッシャーに行って、ミスを誘発するという感じ。山岸のめざとさは、少しタイプが違うかもしれない。
この後のマリノスは、どうしていいか、わからなくなってしまったような感じで、名古屋が無難に試合を進め、2-0での完勝。
ポゼッションの数字はマリノスの方が上回っていたようなのだけれど、ボールを持っているだけで、有効な形を作ることが出来ていなかったし、名古屋が終始優勢に運んだ試合だったことは間違いないと思う。
今季はマリノスと4戦して3勝1敗で、その1敗もルヴァンの第2戦の、得失点差だけが重要な試合だったから、実質的には勝ち試合みたいなもの。とても相性が良かった。今年のマリノスは、公式戦61試合という過酷な日程で戦っていたようなので、コンディションも整わなかったのだろうなとは思う。変なミスがたびたび起きて、この日のように、それが名古屋の得点につながったりもしていた。
ただ、マリノスが絶好調だった時期も、名古屋は案外、接戦に持ち込むことが多かったから、もともと相性はそんなに悪くないと思っている。
先週の鳥栖戦とこの試合を続けて見て、その理由は、マリノスが名古屋と似たタイプのチームだからじゃないか、という気がした。例年、マリノスの方が、名古屋よりも選手の連携が取れたチームという印象があるけれど、それは個々の選手のスペックの高さで、力づくで噛み合わせているだけなのかもしれない。選手のコンディションが整わなくて、力を発揮できない状況だと、成り立たなくなってしまう。鳥栖のように、選手一人一人の意識で、連携が成り立っているように見えるチームとは違う。
連携が崩れているマリノスであれば、個人の能力だけの戦いに持ち込めるから、個人技に長けた選手をそれなりに揃えている名古屋なら、十分勝ち目がある、という感じ。この日の試合も、実際、そういう勝ち方だったと思う。
名古屋の前節の試合との違いは、ランゲラックが欠場したことで、プレッシャーがかかる要素がなくなったこともあっただろうけれど、その辺も大きかったんじゃないかと思った。
今年の名古屋は、基本的に個人の能力に依存したチームだったと考えている。まあ、名古屋は伝統的にそうなんだけれども、今年は特にそんな感じ。以前から居た選手がほぼいなくなって、去年まで曲がりなりにも維持されていた、ヤヒロやマッシモが作ってきたチームとしての決まりごとも消滅して、長谷川が一からチームを作り直そうとしたらこうなった、というか、こんなふうにしか出来なかった。選手の故障が多かったり(それはそれで別の問題をはらんでそうな気はするが)、若手の育成というテーマがあったり、という事情はあったにしても、彼がチームを作り上げる能力には、正直、疑問を感じた。
だから、来季も続投というのはちょっと、と思っている。ルヴァン杯の優勝は、実力というより多分に成り行きだったと感じているし、リーグ戦の順位はこの3年で最低。曲がりなりにもタイトルを取った褒賞としての続投という感じ。チームからの評価の判断基準を下げてもらっている感じもするから、チームにとっては、使いやすい監督なのかもしれない。ルヴァン杯で優勝して、リーグ戦でも上位に食い込んでいたマッシモがクビになったことを思うと、長谷川に対してのチームの扱いには、納得できないものがある。
とはいえ、選手さえ揃えば、それなりの成績は残せるんだろうとは思う。結局は、来季に向けて、どういうメンバーを揃えられるか次第だろうな。そこで失敗すると、逆にまた今季みたいに、残留ラインに絡むことになるんじゃないか、という気もする。
来季はどういうシーズンになることか。
名古屋のゴール裏のみなさん。
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