「ホット・ロック」

1972年の映画。HDDに溜めてあったもの。
確か、ずっと昔に一度、テレビで見た記憶があるが、今回見ていて、内容を全然思い出せなかったから、記憶違いかもしれない。一方で、見た覚えがあるのに、なぜテレビ放映を録画したかも、よく覚えてない。ちなみに2014年に録画したもの。

監督はピーター・イエーツ。主演はロバート・レッドフォード。共演は、ジョージ・シーガルなど。ちなみに、オープニングのクレジットを見ていると、ゼロ・モステルという俳優が、共演者の中では特別扱いされてる感じ。アメリカの著名なコメディ俳優だったらしい。
原作はドナルド・E・ウエストレイクのドートマンダーもの第1作で、とても好きな小説だったが、読んだのはもうずいぶん前なので、細部を覚えてない。泥棒の一味が、同じ宝石を何度も盗まないといけない羽目に陥る、スラップスティックな小説で、大笑いしながら読んだのは覚えているが。
なので、あくまでも印象レベルの話になるけれど、この映画は、ニューヨークを舞台にした、都会的な軽いコメディという感じだが、原作はもっとコメディ色が強かったと思う。そもそも、主役のドートマンダーは、いつもツキに見放されている、もっと惨めな感じの男で、そういう主人公が逆境でジタバタもがくのが、このシリーズのコメディとしての面白さなんだが、ロバート・レッドフォードみたいに格好いい俳優が演じてしまうと、あまり雰囲気が出ないよな。一応、映画の話も、そういうシチュエーションに、なってはいるんだけど。
ニューヨークの街を舞台にした画面の作りそのものは、好きなタイプの映画だけれど(音楽も、クインシー・ジョーンズで、はまっている)、コメディとしては、そこまで面白くない、という感じ。ドートマンダーの仲間のケルプやスタンも、原作ではマンガみたいな笑える登場人物だが、実写映画でリアルに演じられてしまうと、小説で読む時のようなバカバカしさがいまいち出て来ない。

それから、バカバカしさという点では、ドートマンダー一味が仕掛けるいろいろな犯罪計画は、それはいくらなんでも無茶では、と思える類のもの。70年代初期のアメリカの警察って、まだ随分のんびりしていたのね、と思ってしまう。単に時代が違うというだけかもしれないが、そういう所も、ちょっとリアリティの無さを感じてしまって、あまり乗れなかった。全然覚えてないんだが、原作はどうだったんだろうな。まあ、小説の描写と実写映像のリアリティというのは、全然別物ではある。

脚本がウィリアム・ゴールドマンなのを見て、そうだったんだ、と思った。この作家は、小説家としてはとても好きな人。
好きになってもいいはずの要素が、これだけあるのに、今一つの映画としか思えないのは残念。録画してあった理由は、そういう残念な印象があったから、見直してみたいと思った、ということじゃないかな。で、見直した結果も、やっぱり残念だった、と。

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「HK/変態仮面」

2013年の映画。これも長いこと、HDDの中に埋もらせていたもの。

男子高校生が女性のパンティを被ると、変態パワーが覚醒した超人になって、正義の味方として戦うという話。
文句なしに面白かった。すげーバカバカしくて笑えるが、スーパーヒーローものの基本線を抑えているので、そっちの作品としても、十分アリだと思う。それにしても、下半身を絞り上げたコスチュームが、見ていて苦しそうで、ハラハラしてしまうが(^^;。
主役を演じてる、今や大物俳優の鈴木亮平が、冴えない高校生をさわやかに?演じていて、たった5年前なのに、と思う。この俳優のカメレオンぶりは凄いと思う。
ニセ変態仮面で登場するのが安田顕。モロに変態の役を、それほど美的とは言えない全身の肉体をさらけ出して、熱演してるのは、さすがとしか言いようがない。
ニセ変態仮面は、自分の方がより変態だというのを見せつけて、主人公を自信を喪失させ、一時は変身不能に追い込む。その後、ニセ変態仮面の詐術に気付いた主人公は復活。その時に、変態度が高いほど強いわけではない、と主人公に喝破されて、ヤスケンが「そこに気付いてしまったか、その通りだ」と呟く所が、個人的には白眉(^^;。
ヒロイン役は清水富美加で、やっぱり達者な演技だよなあ、と思う。惜しい若手女優だったな。でも、この映画見てて思ったが、大切にされて育った女の子だったら、こんなゲテモノみたいな役の演技を、自分からやりたがるとは思えないし、こういうのを次々事務所からやらされていたら、いやになっても全然不思議じゃないよな。
他にも、ムロツヨシとか、佐藤二朗とか、いかにもこういう映画に出てきそうな俳優だらけ。久保田悠来の名前が、エンドタイトルの隅っこの方にあったので、あれ?と思って、一応見直してみたら、冒頭の方にちょっとだけ出てくる記者がそれだよね、多分。この人も、あっちこっちでよく見るなあ。

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「ダメ男に復讐する方法」

2014年の映画。2016年にWOWOWで放送されたものの録画を、やっと見た。キャメロン・ディアスが出ているので見たかった映画。ただ、キャストでは一番初めにキャメロンが出てくるが、実質的な主役はレスリー・マンじゃないかなあ、という気がする。

キャメロンの役は、やり手の弁護士カーリー。男遊びを繰り返してきたけれど、身を固める気になって、1人の男に絞ったら、そいつは実は妻帯者だったという話。この男の妻・ケイトを演じるのがレスリー・マン。カーリーとケイトは何度か会ううちに仲良くなってしまい、共闘して男への復讐を考え始める。その過程でさらに別の愛人アンバーが居ることも分かり、彼女も加えた3人で復讐計画が進行する。

近年のキャメロン・ディアスがよく出ている、バカバカしいコメディ映画の流れではあるけれど、そういう映画では、キャメロンがぶっ飛んだコメディの演技を見せてくれるのがパターンだし、それが楽しみで見ていた。しかし、この映画でのキャメロンは抑え気味で、むしろレスリー・マンがその辺を引き受けてる感じがある(だから、主役はこっちかなと思ったりする)。
クレアは、結婚したことで一旦は全てを捨ててしまった女性なので、家庭が崩壊することで、再び全てを失う恐怖とか、夫を信じようとする気持ちの揺れ動きとか、見せ場も結構多いから、なおさら。
女性を見下している男が破滅していく話でもあるので、フェミニズム的な要素を感じ取ってもいいのかもしれない。

ただ、話そのものはそんなにたいしたものではない。それなりに笑えるけれど、ハッピーエンドに向けて、きっちり男性を配置してるのが途中で見て取れるから、ちょっと白けてくるところもある。まあ、元々、そういう映画かなとは思っていたが、キャメロン・ディアスの暴走演技を期待してた分、そこの肩透かし感が結構強かったので。
きれいなおねえさんがたくさん出てくる華やかな映像と、おしゃれなBGMを楽しめれば、それでOKという映画なのかもしれないけれど、ちょっと残念だった。

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「幸せになるための5秒間」

2014年の映画。2016年にWOWOWで放送された時の録画を、やっと見た。原作はニック・ホーンビイの小説「ア・ロング・ウェイ・ダウン」で、読んでいる。本のタイトルは原題をカタカナにしただけ。おそらく、映画化されたということもあって邦訳されたが、出版までに映画の邦題が決まらなかった。結局、2016年にWOWOWで放送されるまで、日本未公開だったらしい。でも、この映画邦題はダサ過ぎなので、まだそのままカタカナの方がいい。ちなみに原題は、原作のあとがきに書いてあったが、ビルのてっぺんから飛び降りるというような、手っ取り早い降り方ではなく、人生を「ゆっくり降りる」というような意味合いなんだそう。

大晦日の夜、自殺の名所のロンドンの高層ビルの屋上で、自殺志願の男女4人が鉢合わせして、気勢を殺がれて目的を果たせないまま、ビルから降りてしまう。そこからの、年齢も背景も様々な4人の交流を描いていく。

こんなハートウォーミング的な話だったっけ?、と思って、見た後に原作を軽く読み直してみたが、最後の方がバッサリ切られて、ハッピーにまとめあげられてる以外は、そんなに原作との乖離はない。というか、そもそも、ニック・ホーンビイの小説は、語り口や登場人物は尖っているけど、ストーリー自体は、割と素直なヒューマンコメディという感じだから。ただし、最後は、こんなに安直にはまとめない。とりあえず、何とかなったけど、先のことはわからない、という感じの終わり方をすることが多い印象。
それから、原作は、4人の男女が代わるがわる一人称を交換しながら話を進めていく形式で、全く違う4通りの語り口が最大の特徴だと思う。しかし、映画ではそれを生かすのはかなり難しい。必然的に原作からは、ストーリーラインを持ってきたところばかりが目立つ形に、ならざるを得なかったかな、と思う。

もうひとつ思ったのは、4人が自殺を決意するに至った経緯について、この映画だけだと、あまりよく分からないんじゃないだろうか、ということ。彼らの動機は、たとえば経済的に困窮して、生きていけないから自殺するというような、そこまで分かりやすいものではないので。原作では一人ひとりの長いモノローグで、曖昧ながらも納得させられるんだけど、映画ではそこまで尺がない。自分の理解では、自殺を考える/考えない、自殺を決行する/決行しない、の境目自体が曖昧なもの、というのが著者の考えにあって、その点についての考察も、本書の結構大きなポイントだから、そこが落ちてしまうと、何だか物足りない話になってしまう。ただ、JJの絶望感みたいなものは、(原作とは少し違うと思うが)割とうまく描かれていた気はする。

個人的には、全然物足りない映画だけれども、個性的な4人の主人公たちはうまく演じられていたと思うし、原作とは違う持ち味の話と割り切って、人生、生きてればいいこともある的な、ハートウォーミングなコメディとして見るなら、十分楽しめる映画なのかな、とは思った。そういう見方をするなら、この邦題でも、そんなに違和感はないだろう。

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「謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス」

お付き合いで見に行った映画。渋谷のイメージフォーラム。ここは初めて行った。

ヒエロニムス・ボスの「快楽の園」という有名な絵について語る映画。タイトルだけ見ると、画家についての映画みたいだが、他の作品についてもいくらか触れてはいるものの、実質的に、この絵についての映画といって差し支えないと思う。
正直、だいぶしんどかった(^^;。元々、それほど関心のある絵ではなかったし、それほどよく知ってもいなかったので、語られる内容に、いまいちついていけず。まあ、語られる内容も、絵についてじっくり解説するというよりは、各界著名人(ただし、あくまでも、この絵が所蔵されているスペインを中心とした)が個人的な印象を語る、という感じの時間が長いし、比較的専門的な話の部分も、じっくり掘り下げるというより、短いカットでつないでいくという体裁だったから、集中して観ていることが出来なかった。
「快楽の園」というのが、相当えぐい描写も含んだ、シュールな絵画だということは、よくわかったけれど。とはいえ、それで、この絵に、すごく関心がわいたというわけでもない。

個人的に一番興味を覚えたのは、感想を語る著名人のなかに、サルマン・ラシュディが居たこと。今も健在で、こういう場所に出てこれるような状況に居るんだなあ。で、今から30年くらい前に買った「悪魔の詩」を、結局、今も読んでないんだよなあ、と思った。

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「地球防衛未亡人」

昨晩、寝ようかと思いながらテレビの番組表を見てたら、TVKでこれの放送が始まるところだったので、最後まで見てから寝た。壇蜜主演の2014年の特撮映画。

映像や話の作りが、初期のウルトラシリーズのチープな雰囲気をうまく再現しているパロディもので、かなり笑わせてもらった。
壇蜜主演なので、当然エロい場面はあるんだけど、思ったほどではなかった。テレビ向けに編集が入っていたのかなと思ったが、壇蜜が主演した映画では初の無指定だったということなので、元々、こんなものだったんだろう。

怪獣を攻撃する戦闘チーム(略称が「JAP」てのがいい)のエースパイロットが壇蜜。殺された婚約者の仇を取ろうとして、怪獣と戦う。司令官の森次晃嗣が、壇蜜に「ダン隊員」と呼びかけるのには笑った。壇蜜だからダン隊員なのかと思ったが、一応、役名もダンだった。古谷敏ときくち英一という、新旧ウルトラマン俳優がゲスト出演してたのも良かった。あと、JAPアローという名前の戦闘機は、マットアロー1号が原型のような気がしたな。

内容は、とりたてて大したものではないけど、日本の国際関係について、風刺というほどでもないにせよ、皮肉っぽいあてこすりをしてたあたりは、ちょっと面白かった。ニュースペーパーのメンバーが安倍晋三、ノッチがオバマのパロディ役で出てきていた。

しかし、この話、壇蜜は結婚前だったんだから、「未亡人」ではないと思うんだがな。

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「仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー」

元日に映画を見に行ったのは、初めてじゃないかと思う。お付き合いだったが、「オーズ」のエイジとアンクが出るようだったので、それなりに関心もあった。ただ、エグゼイドのテレビシリーズは絵面や設定がチャチ過ぎるように思えて、早々に見る気をなくして脱落したし、その流れでビルドも全然見てないから、ちょっと不安はあった。

結果的には、エグゼイドとビルドについては、見てなくてもそんなに問題はなかった感じ。一方の世界ではエグゼイドがヒーローで、もう一方ではビルドがヒーローで、そのふたつの平行世界が同時に危険にさらされる、という程度の中身だったから。セカンドライダーとかが多くて人間関係がややこしくても、今までのライダー物からの類推で、割と簡単に推測も出来た。
オーズからゴーストまでの「レジェンドライダー」については、元々、かなりわかっているし。というか、自分的な見どころは、むしろ彼らの出演シーンだった。
もっとも、ゴーストについては、エグゼイドが始まってからの、見ていない映画版でも話が進行してたらしく、なんで御成があんなことになってるのか分からなかった。まあ、いいけど(^^;。西銘君も髪が黒くなってて、見違えた。
オーズの渡部秀と鎧武の佐野君は、おっさんになったなあ。それにくらべて、アンクの三浦君は、あんまり変わってるように見えなかった。まあ、メイクが濃いから、というのもあるんだろう。
映画としては、オーズとアンクが全部持って行っちゃってた感じがする。観客が泣く所は、全部あの二人の絡みだった(^^;。もっとも、オーズを見てない観客は、分からないから、そういうリアクションにはならないな。
フォーゼの福士君が、あいかわらず活舌が悪くて、微笑ましかった。今や有名俳優だし、もっと達者になったのかと思ったが。同行者は、これでも凄くうまくなっていると力説していたけれど。

映画版の通例で、細部の整合なんてほとんど気にしない、大雑把な話の作りだったけれど、今回は変に理屈でまとめようとせず、勢いで話を進めていたから、あまり気にならなかった。レジェンドライダーの使い方も結構手厚くて、楽しめたから、悪くない出来だったと思う。

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「ゴッホ 最期の手紙」

上野TOHOシネマ。11/3に付き合いで見に行った。
新聞の広告では11/4から公開となっていたのに、ネットで予約出来ちゃったというので、11/3に行ってみたら、どうやらこの映画館のプレオープン日で、正式には11/4から開業だったらしい。
ちなみに、映画館が入っているビル自体が、そういう位置付けだったらしい。パルコ系の「パルコや」というデパートも入るが、ここもプレオープンだった。ここは、入り口で入館制限を掛けていた割には尻抜けで、映画館から回り込んで入れるようになっていたから、ぐるっと回ってきた。ちょっと狭くない?という感じではあった。まあ、そもそも、自分がわざわざ上野まで買い物に行くような店ではないから、どうでもいいんだが。

映画館は普通に営業していた感じ。若干、プレオープンぽい不手際感もないではなかったけど、映画を見ることそのものには、特に問題はなかった。ただ、正式に開業した後の休日の夕方だったら、あんなにのんびりした客の入りではなかったんじゃないかな。

映画自体は、ゴッホが謎めいた状況で死んだ謎を追うという内容。ただ、どちらかというと、内容よりも手法が重要で、ゴッホの有名な作品を映像として取り込んで使うアニメーション映画。それをやるために、100人以上の画家を参加させて、セル画の代わりに油絵を使って、アニメを作っている。だから、ゴッホの絵が動いているように見える、非常に独特な映像になっている。単発の企画で、こういう映像が作られていることは過去にもあると思うけれど、長篇アニメ全編が作られているってのは、あまり例がないんじゃないかな。
見てみると、必ずしもゴッホのタッチとは言い切れない、実写に近く見える映像も半分近くあったし、油絵を動かしている部分も、結構CGでつないでいるのかな、と思ったんだが、後で制作手法を解説した記事を読んだら、俳優が普通に演技した映画をまず制作した上で、それを絵でトレースしたのだそう。CGは使われているが、ベースの映画の方での使用ということで、実際の作品は、あくまでも絵を撮影したものらしい。

ストーリーについては、印象的な部分もあったとはいえ、まあ、こんなもんだろうな、という範囲の内容。ほぼ事実に基づいていると思われ、あまり無理な演出はしていない。だから、それほどドラマチックな造りにもなっていない。
とはいえ、基本的には、特異な手法の映像を見ることが出来たという点だけでも、納得できる映画だったと思う。
(2017.11.3)

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「ワンダーウーマン」

9/7に見に行った映画。
アメコミのスーパーヒーロー(ヒロイン?)もの。昔昔、テレビドラマや月刊スーパーマンでの掲載を見ていたから、ワンダーウーマンには、他のアメコミヒーローよりも親しみがある。日頃、あんまり見に行かないタイプの映画だけど(というか映画自体、近頃、大して行かないが(^^;))、見に行ったのは主にそういう理由。

面白かったと思う。
アクション映画としては、生身で戦ってる感が結構強くて(まあ、ああいうコスチュームだからね)、CGだなあ、というつまらなさが薄くて良かった。もちろん、実際はCGなんだけどさ。
主人公のワンダーウーマン(ダイアナ)が、あくまでも格好いいヒーローだったところも良かった。女性だからといって、男に弱味を見せない。第一次世界大戦時のヨーロッパが舞台だから、ばりばり男性優位な背景だけど、そういう中で、ダイアナは周囲が納得するしかない力を示すことで、ごく自然にヒーローになっていく。

ただ、「正義の味方」が一方的にイギリス・アメリカに味方しているように見えちゃう部分があって、そこにいくらか違和感はあった。
細かく見れば、少なくとも目の前の悲劇に関しては、ドイツの中にいる一部のとりつかれた人間に問題があるのであって、ドイツ人そのものが悪なのではない、という描き方になっている、とは思うんだけど、印象としてはあんまり強くない。
ヒーローものなので、どうしても絶対的な悪を相手にしないと話が進みにくい構造があり、アレスという背後にいる敵役は設定されている。ただ、かなりリアルな戦争ものとしても作っているし、そうした戦闘の場面で戦う相手は普通にドイツ軍だから、やっはりドイツ=悪という感じになってしまう。
ヒーローものにはよくあることではあるけれど、作品のテーマが、「人間」は本質的に悪なのか?、というあたりまで踏み込んでいる以上、簡単に、よくあること、で、済ませていいことでもない気がする。作品としても、かなり気を遣っている気はするんだが、やっぱり難しかったのか。

そういえば、「トレインスポッティング」のスパッド(ユエン・ブレムナー)が出ていたな。まるっきり同じようなキャラという感じだった(^^;。

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「ゲット・ショーティ」

2005年製作の、エルモア・レナードの小説の映画化。
ずいぶん前(10年は経ってないと思うが)にDVDが安売りされてるのを見掛けて、そういや、劇場で見なかったなと思って、買ってあったもの。見ないまま放ってあったが、先日、原作を読み返したことでもあり、ついに見てみた。

内容は、かなり原作に忠実。
ジョン・トラヴォルタが主人公のチリ・パーマーをやっていて、これは見事にはまっている。原作そのものだと思う。それ以外のキャスティングに関しては、大物俳優マイケル・ウィアをジョン・デヴィートがやってるのは違和感があった。背が低いのは設定通りだが(タイトルの「ショーティ(チビ)」は、彼のことを指している)、これじゃあ最初からギャグにしかならない。格好いい大物俳優だけど意外に背が低いという落差が、この人物のキャラを作っているんじゃないのかな。小説を読んでた時のイメージは、トム・クルーズあたりだった。デヴィートじゃあ、全然意外性がない。ただ、プロット的には、そこはそんなに問題はない気はする。

でも、正直、いまいちな映画化だったと思う。癖のある登場人物たちが繰り広げる駆け引きが、原作小説の面白さだけれど、それをうまく表現出来ていない。そもそも映画では、個々の人物の思惑を細かく説明するのは難しいだろうし、そういう面白さを表現出来る形式なのかな?、とも思う。表面的には原作のストーリーをかなり忠実に追っている分、かえって、これではこの場面の意味が十分伝わらないんじゃないか、と感じる部分が、随分多かった。
チリがはまって見えるのは、この作品は彼の動きを受けて、周囲の人間があれこれ考え始めるという構造の話なので、彼だけは外側から行動を描くだけで足りるキャラだから、という理由かもしれない。他の登場人物については、なぜそういう行動をするのか、というあたりが、もう少し分かるように描かれないと厳しい。

もっとも、原作を読んでいなければ、それなりに納得して見れる映画だったのかも。ややこしい話が、かなり単純化されてるのは確かで、ここにはこういう背景が、ということを意識せずに見れれば、これはこれで軽いコメディとして楽しめるのかもしれない。そこはよく分からない。ただ、映画化作品としては、あまりいい評価は出来ないと思った。

そういえば、「プロント」に登場したジミー・キャップの名前が冒頭に出て来て、あれ?と思って原作を確認したら、原作でも出ていた。「ゲット・ショーティ」では名前だけがちょろっと出てくる程度のキャラなので、覚えていなくても不思議はなかったかな。少なくとも、この2作の背景は同じらしい、ということに気付けたのは、この映画を見たおかげだね。

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